ダイカストとは?仕組み・特徴・メリットとデメリット

更新日: 2026-10-28

ダイカスト(die casting)とは、溶かしたアルミニウムや亜鉛などの金属を、鋼製の金型に高速・高圧で射出して成形する鋳造法です。 「ダイキャスト」とも表記されます。寸法のそろった薄肉の部品を短いサイクルで大量に生産できるため、自動車部品、電子機器の筐体、家電、機械部品などに広く使われています。

ダイカストの仕組み

1型締め金型を閉じて強い力で固定 2給湯溶けた金属をスリーブへ注ぐ 3射出・加圧高速・高圧で金型に充填 4冷却・凝固金型内で数秒〜で固まる 5型開き押出ピンで製品を取り出す 6トリミング湯口・バリ除去→後加工・表面処理 ※コールドチャンバー方式(主にアルミ合金)の流れ。亜鉛合金は射出部が溶湯に浸かるホットチャンバー方式が一般的です。

ダイカストでは、2つに分かれた金型(固定型と可動型)を閉じ、溶けた金属を一気に押し込んで固めます。固まったら金型を開き、押出ピンで製品を取り出します。湯口やバリを取り除き、必要に応じて後加工や表面処理を行います。

ホットチャンバーとコールドチャンバー

ホットチャンバー コールドチャンバー
仕組み 射出機構が溶けた金属の中にある 溶湯を毎回スリーブに注いでから射出する
主な材料 亜鉛合金、一部のマグネシウム合金 アルミニウム合金、マグネシウム合金
特徴 サイクルが速い 融点の高い合金に対応。アルミは鉄を侵すため、溶湯に浸けない方式を使う

ダイカストのメリット

ダイカストのデメリット・注意点

設計の目安

項目 一般的な目安 補足
肉厚(アルミ) 約1.5〜4 mm程度から検討 均一な肉厚が基本。部品サイズと流動距離で変わる
肉厚(亜鉛) アルミより薄くできる傾向 小型部品では1 mm未満も検討されることがある
抜き勾配 0.5〜2°程度から検討 内側の面・深い面ほど大きめに
角R 鋭角を避けてRを付ける 湯流れ・強度・金型寿命に影響
公差 鋳肌面は鋳造の普通公差、厳しい箇所は後加工 JIS B 0403(鋳造品の寸法公差)などを参照

上記は設計初期の検討用の一般的な目安です。実際の可否は形状、大きさ、材質、金型方案によって変わるため、図面で個別に確認します。

ダイカストと他の鋳造法

ダイカスト 砂型鋳造 ロストワックス
型 鋼製金型(繰り返し使用) 砂型(毎回作る) ワックス模型(毎回消失)
材料 アルミ・亜鉛など非鉄 鉄・非鉄ほぼすべて 鉄系・ステンレス・一部非鉄
数量 中〜大量 少量〜中量 少量〜中量
寸法・鋳肌 よい 粗め よい

違いの詳細は「ダイカストと鋳造の違い」をご覧ください。

よくある質問

ダイカストとダイキャストは違うものですか?

同じものです。英語のdie castingをカタカナにした表記の違いで、JISや業界団体では「ダイカスト」が使われています。

ダイカストはどのくらいの数量から向いていますか?

金型費を部品数で割った負担と、他工法との単価差で決まるため、一律の数量はありません。数百個程度なら切削加工やロストワックス、数千個以上ならダイカストが候補になることが多いですが、部品の大きさと形状で比較が必要です。

ダイカストの「巣」とは何ですか?

鋳物の内部にできる小さな空洞のことです。空気の巻き込みや凝固時の収縮で発生します。気密が必要な部品や加工面に出ると問題になるため、要求がある場合は設計段階で試験方法と基準を決めておきます。